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テレワーク導入で、子どもも社員も会社も育つ!〜社長も納得のテレワーク導入ストーリー〜 株式会社ワイズスタッフ代表取締役 兼 株式会社テレワークマネジメント代表取締役
田澤由利

私は、今、北海道のオホーツク地方に住み、小さな会社を経営しています。お客様は東京や大阪の企業が中心。雇用社員は10名程度ですが、全国各地に専門的なスキルを持ったスタッフが約140名います。この春には、業務拡大のために、東京にオフィスを設置しました。北海道から東京にオフィスを出すとなると、すごく大変のようですが、実際にかかった経費は、通常の1/3以下です。

地方の小さなIT会社が、こんなことを実現できるのは、「テレワーク」という新しい働き方をいち早く導入してきたからです。

「テレワーク」とは、本来仕事をする場所(一般的には会社)以外で、ITを使って仕事をする、場所や時間に縛られない働き方のことをいいます。主婦が自宅でパソコンを使って仕事をする「在宅ワーク」も、会社に雇用されている社員が自宅で仕事をする「在宅勤務」も「テレワーク」のひとつです。

政府も2015年までに在宅型テレワーカーを700万人にする、という政策を掲げ、少子高齢化、労働力不足、地域活性化など、様々な社会問題を解決する手段としてのテレワークを推進しています。

しかし、私が「在宅勤務制度を導入しませんか?」と、企業の社長さんにお話すると、ほとんどの方から、

「いやぁ、うちはまだまだ」
「もっと余裕ができてから」
「この業種は無理ですね」

と、一歩引いたお返事が返ってきます。

これは、「在宅勤務」は、社員のための福利厚生のひとつで、会社に余裕がある場合に実施するものだと思っているからのようです。また、IT関連企業以外では難しい、と思い込んでいる方も少なくありません。

でも、実はそうではありません。テレワーク(在宅勤務)は、社員はもちろん、普通の企業にとっても、大きなメリットのあるワークスタイルなのです。

出産・子育て・介護で貴重な人材を失っていませんか?

みなさんは、育児休業の取得率をご存じですか?

厚生労働省の「平成21年度雇用均等基本調査」によると、女性の育児休業取得率は85.6%、男性の育児休業取得率は1.72%です。
前年度調査より女性の取得率は5.0%ポイント低下、男性は0.49%ポイント上昇して、この数値です。

85.6%の女性が育児休業を取っているとは、すごいですよね。「日本も変わったもんだなぁ」と感心している方もいらっしゃるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。

このパーセンテージの算出の仕方をしっかり見てみましょう。

平成20年4月1日から平成21年3月31日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、平成21年10月1日までの間に育児休業を開始した者(育児休業の申し出をしている者を含む。)の割合が、85.6%。

つまり、「妊娠をしたので退職してしまった」女性は、この中に含まれていないのです。また、育児休業を終えて復帰したかどうかまでの確認もできていません。

第7回21世紀成年者縦断調査によると、 女性は結婚をきっかけに、28.1%が離職し、さらに出産後52.9%の女性が離職しているそうです。

結婚、第一子出産の時点で、働き続ける人は約33.9%になってしまうことになります。いかに、出産が仕事継続の壁になっているかがわかりますね。この数字に対して、85.6%が育児休業を取得しているということなのです。

今年の6月に、育児介護休業法が改正され、育児休業を取得する人がこれからもっともっと増えていくと思われます。「イクメン」と呼ばれる、育児参加に積極的な男性社員の育児休業取得も増えることでしょう。

これ自体はとてもいいことです。社員は子どもと過ごすための時間が増え、ワーク・ライフ・バランスも向上します。でも、一方で、日本の経済の先行きはまだまだ見えません。企業を経営する立場としては、その傾向を手放しに喜ぶことができない、というのが本音ではないでしょうか。

会社は、社員が「働いて」成り立っています。社員が「休む」ということは、会社にとって、大きな痛手。社員のワーク・ライフ・バランスは向上させたい、でも、そのために会社の経営が成り立たなくなってしまっては、本末転倒です。

そんな中、テレワーク(在宅勤務)制度がある会社は、貴重な人材を失わずにすむのです。私の会社では、長年働いてくれた女性がパートナーの転勤で退職してしまうかと不安になった場面が二度ありました。でも、二人とも遠く離れた地に行っても、完全在宅勤務で今も働いてくれています。ありがたいことです。

テレワークのメリットは、「人材確保」「経費削減」「見える化」

テレワークの導入が企業にもたらす大きなメリットは、まだまだあります。「人材確保」「経費削減」「見える化」の三つにわけてご紹介しましょう。

「人材確保」

中小企業の社長にとって、一番の悩みは人材確保です。日本は、長引いた少子化により、これから少なくとも20〜30年は労働力が減り続けます。少ない若者は、都会の大企業を希望し、地方の中小企業は、いい人材の確保がより一層難しくなります。
そんな中、子育てや、パートナーの転勤、介護等のために、社員が辞めてしまうのは大きな損失です。テレワーク(在宅勤務)なら、会社と離れた場所に住んでいても、子育て中でも、働き続けてもらうことができます。また、柔軟な働き方ができることで、「長く働きたい」と考える、よりよい人材が、その企業に集まってきます。

「経費削減」

業務のIT化が進むと、資料が増えるたびにキャビネットを購入する必要はありません。在宅勤務者が増えると、机や椅子などの備品やスペースを社員の数だけ用意する必要もありません。毎日会社に通勤するための定期代も不要です。テレビ会議を導入すれば、出張経費も格段に減ります。

「見える化」

業務をIT化をする、ということは、仕事の経緯、データ、情報、ノウハウが、誰でも見えるようになるということです。これまで、特定の社員の頭の中や、机の中だけに埋もれ、そのような社員に頼るしかなかった情報やノウハウ、技術を広く共有できるようになります。若い社員への伝達もしやすくなります。これにより、会社は確実に強くなります。私自身、これが企業にとって一番大きなメリットになるのではと考えています。