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テレワーク導入で、子どもも社員も会社も育つ!〜社長も納得のテレワーク導入ストーリー〜 株式会社ワイズスタッフ代表取締役 兼 株式会社テレワークマネジメント代表取締役
田澤由利

会社の機能をIT化することから始めましょう。

さて、そんなメリットの大きいテレワークですが、単に「明日から自宅で仕事していいよ」とするだけでは、その恩恵を享受することはできません。在宅勤務でも、本来の能力を発揮できる仕事環境と業務を用意する必要があります。

在宅勤務の導入を検討する際、ほとんどの経営者や管理職の方は、まず最初に「家でできる仕事を、どのようにして作ろう?」と悩まれます。

でも実は、この考え方から入ると、

現状では、会社に来ないと打ち合わせができないし、キャピネットの資料も見ることもできない。「データ入力」や「翻訳」など、家でひとりでできる仕事は、ほとんどないから、ウチで在宅勤務を導入するのは難しい…

という結果に至りがちです。

そこで、「家でできる仕事を作ろう」ではなく、「今の仕事を家でもできるようにするにはどうすればいいか」と、検討の方向性を変えてみましょう。

まず取り組みやすいのは、オフィスにあるさまざまな備品や機能のIT化です。社内を見回してください。ファイルキャビネット、スケジュールボード、伝言板、タイムカード、会議室…さまざまな物が、オフィスにあります。

たとえば、オフィスにあるキャビネットをIT化できれば、出社しなくても家に居ながら最新資料を参照することができます。たとえば、チーム全員のスケジュールが書かれたボードをIT化すれば、自宅にいても仲間の行動がわかります。たとえば、会議をIT化できれば、会社に出社せずに打ち合わせに参加することができます。

高価なITシステムを導入する必要はありません。毎日の仕事を見なおし、IT化できる仕事を明確にし、そのために必要なオフィス機能をインターネット上で作業できるようにしていくことが、正しいテレワーク導入の第一歩です。

このような視点で業務を見直してみることは、これまで「当たり前」だと思っていた仕事の仕方を見直すいい機会にもなり、結果、在宅勤務ではない社員の業務効率向上にもつながります。

「在宅勤務だと仕事をサボる」というのは本当?

テレワークのメリットと適切な導入の方向性は、ご理解いただけたでしょうか。
ただ、それでも、多くの経営者の方には最後の心配事が残ります。それは…。

「在宅勤務だと、仕事をサボるのでは?」

という点です。

そばに誰もいないと、人間ですから誘惑に負けてしまうことがないとは言えません。

でも、会社に来て仕事をしていても、社員が「会社に来てパソコンに向かっている」=「一生懸命、仕事をしている」とは限らないですよね。大切なことは、「仕事の管理をしっかりできる仕組み」を作ることであり、それは、会社勤務も在宅勤務でも同じなのです。

もし「管理者がそばにいないと仕事できない」社員がいるとしたら、もし「部下が目の前に座っているかどうかで仕事の出来を判断している」管理職がいるとしたら、別の問題かもしれません。

私の経験だけでなく、在宅勤務制度を導入された企業さんのお話を聞いても、在宅勤務をしている社員は、環境さえ用意すれば、本当によく働いてくれるそうです。
家で仕事をしたいという願いを叶えてもらえたことに感謝しつつ、その働き方を続けさせてもらうために、努力するからです。

ただ、会社である以上、性善説だけで制度を導入することはできません。テレワークの適切な導入のために、テレワークでも仕事の進捗を把握できる業務評価方法、人事制度、テレワークでも時間管理がしっかりできる環境を用意することが、大切です。

テレワーク導入の生産性向上ストーリー

最後に、テレワークによる生産性向上の事例をご紹介しましょう。冒頭に書いたように、私の会社はこの春、東京にオフィスを設置しました。名づけて「テレワークオフィス」です。

オフィスの機能をできる限りIT化し、社員も在宅勤務で雇用し、電話対応や郵便発送などの業務を本社で代行することで、とってもスリムで、机と椅子以外、ほとんど何も無いオフィスができました。会議室はもちろん、キャビネットも、FAXコピー機も、コーヒーメーカーもありません。

でも、インターネットに接続すれば、キャビネット、スケジュールボード、タイムカードなど、さまざまな機能を利用することができます。ただし、インターネットでは実現できないコピーやコーヒーは、近くのお店でまかないます。そのおかげで、オフィスの広さはわずか1K。近辺の事務所家賃の1/3以下です。社員の数が増えても減っても、オフィスを移転したり、什器を買い足す必要もありません。これも、従来から、テレワークの環境を整えておいたおかげと、経営者としてはとても満足しています。

適切にテレワークを導入することで、「人材確保」「経費削減」「見える化」を実現できた企業は、本当に強くなります。子育て中の社員が、子どもとの時間を大切にしつつ、仕事をすることができます。介護のために社員が辞めなくてはいけない、ということもありません。

適切なテレワーク導入により、在宅勤務社員だけでなく、社員全員が従来の仕事のやり方を見直し、より効率的に仕事ができるよう「育ち」ます。在宅勤務社員の子どもも、仕事をする親の背中を見て、まっすぐ「育ち」ます。そして、何より、企業そのものも、激動の社会を生き抜く力をつけ、より大きく「育つ」ことでしょう。

最後に

実は私の会社は、「サイボウズ Office」シリーズを使い始めて10年近くになります。インターネット上にオフィスの機能を再現し、自宅で働くスタッフとスケジュールやファイルを共有するのに最適だったからです。「サイボウズ Office」はバージョンアップをしつつ、私の会社により便利なオフィス環境を提供し続けてくれています。

今回、この記事を書かせていただくにあたり、10年来の友人に頼まれた気分で、喜んで引受させていただきました。私の会社がテレワークを基本に、仕事をし続けることができたことに感謝しつつ、より多くの企業経営者の方が、ビジネス戦略として「テレワーク」に興味を持ってくださることを願って止みません。

株式会社ワイズスタッフ代表取締役
兼 株式会社テレワークマネジメント代表取締役 田澤由利

1962年奈良県生まれ。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒業。シャープ株式会社にてパソコンの技術、企画、販売促進等の業務に従事したが、結婚・出産によりやむなく退職。その後、フリーライターとして独立し、3人の娘の子育て、夫の5度の転勤による引越しを経つつ、SOHO(テレワーカー)として、パソコン関連の書籍や雑誌の執筆を行う。

1998年、インターネット上で会社を運営する「ネットオフィス」を実践するため、夫の転勤先であった北海道北見市にて、ワイズスタッフを設立。2004年に2番めの拠点として奈良オフィスを開設し、翌年株式会社へ組織変更。現在、インターネット上で、海外を含む全国各地のテレワーカーであるスタッフ約140名とともに、50以上のプロジェクトを同時に運営している。主な業務内容は、ホームページ制作・メールマガジン編集・マーケティングなど。

テレワーカーの労働力を適切に生かすには、マネジメントが重要であるという思いに至り、2008年9月、株式会社テレワークマネジメント設立。

女性はもちろん、地方在住者、高齢者、障がい者も「ネットで働ける社会」を実現することをライフワークとして取り組んでいる。

<経歴>
1962年   奈良県生駒市に生まれる
1981年   奈良県立奈良高等学校を卒業
1985年 3月 上智大学外国語学部を卒業
1985年 4月 シャープ株式会社に入社
1991年11月 フリーライターとして独立
1998年10月 有限会社ワイズスタッフを設立
2004年 4月 奈良オフィスを開設
2005年 4月 株式会社ワイズスタッフに組織変更
2008年 9月 株式会社テレワークマネジメント設立

現在に至る