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業務内容を限定しないこれからのテレワークの形とは ―140名のスタッフ全員でテレワークを実現― 株式会社ワイズスタッフ様の事例

ホームページ制作・運営や、ネットプロモーション、コンテンツ制作などを手がける株式会社ワイズスタッフ。
北海道と奈良に事務所を構える同社だが、そのオフィスにはほとんど人がいない。
同社のスタッフ140人(ネットメンバー)は全員、在宅で勤務するテレワーカーなのである。

テレワークや在宅勤務で行う業務は、個人で完結するものに限定されている場合が多いが、ワイズスタッフでは、一般企業と同様に数人〜十数人のチームでプロジェクト進行するような業務をテレワーク環境で行っている。

そのテレワーク環境を支えているのが、「中小企業IT経営力大賞2010」でIT経営実践認定企業にも選ばれたIT活用だ。
これは全員がテレワークで働く企業だけでなく、これから部分的に在宅勤務制度の導入を予定している企業にとっても参考になるものだと言える。
その取り組みを代表取締役 田澤氏に伺った。

業務内容を限定しない「ネットオフィス」型テレワーク

従来、在宅勤務というと個人事業主やフリーランス、内職など、独立性の高い業務を行うケースが多かった。
2000年以降はIT関連企業や大企業を中心に在宅勤務制度を導入する企業が増えているが、これらの企業でも職種や業務内容を限定している場合も多い。

しかしワイズスタッフでは、通常の企業と同等の業務環境をネット上で実現することにより、コミュニケーションが重要視される大規模なプロジェクトなど、業務を限定しない「ネットオフィス」型テレワークを実現しているのだ。

従来のテレワーク(在宅勤務)とこの「ネットオフィス」型テレワークでは、業務内容だけでなく求められる人材も全く異なると田澤氏は言う。

「従来のテレワークでは、一人で仕事をしたい方や、独立志向の高い方が多い傾向にあります。
しかし、ネットオフィス型テレワークでは、会社組織に所属してチームで働くことを希望しているけれど、何らかの事情で通勤できない方が適しています。
育児中の方に加え、定年退職や介護のために働けない方など、このような需要は急速に増えていくと考えています。」

また、業務はすべてネット上で行うからこそ、採用段階では「会う」ことにこだわり、必ず代表の田澤氏が同席の上、コミュニケーション能力などネットオフィスへの適性を見極めているそうだ。

このように、業務内容を限定しないネットオフィスを実現するためには、まず「人」が重要なのである。

ネットオフィスを実現するためのITシステム

「人」の次に重要なのが「ITシステム」だ。
チームでコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進行するネットオフィス型テレワークでは、可能な限り通常の事業所に近い職場環境をネット上に再現する必要がある。
そのためにワイズスタッフでは、自社開発のコミュニケーションツール「Pro.メール 2.0」やTV会議システムに加え、「サイボウズ Office 8」を活用している。

ワイズスタッフのネットオフィス環境
※出典:(株)ワイズスタッフウェブサイトより

○スケジュール管理
同社で活用されているのがまず、スケジュール機能だ。
働く場所や時間が限定されないテレワーク環境では、誰がいつ作業しているのか目視では確認できない。
だからこそ、「サイボウズ Office 8」でスケジュールを共有してメンバーの予定を把握できることが重要なのである。
○ファイル管理
本棚やコピー機がある事業所と違い、ネットオフィス環境では業務に関する文書をすべて電子データとして保存、共有する必要がある。
その保存場所として「サイボウズ Office 8」のファイル管理機能を活用している。
「サイボウズ Office 8」のファイル管理機能では、更新履歴やバージョン管理機能によって、誰がいつ更新したのか記録し必要であれば前の状態に戻すことが出来るので、複数メンバーで使うプロジェクトの資料なども更新ミスの心配がないそうだ。
○ワークフロー機能
テレワーク環境で紙の申請用紙を回覧、捺印していては、申請から承認までひどく時間がかかってしまうことは想像に難くない。
ワイズスタッフでは、プロジェクト参加応募など様々な申請業務に「サイボウズ Office 8 ワークフロー」を活用し、ペーパーレス化を実現している。

他にも様々な用途に「サイボウズ Office 8」をフル活用している様子が、同社のブログでも紹介されている。

テレワーク環境下での人事評価

最後に企業がテレワークや在宅勤務を導入する際、課題となるのが評価制度だろう。
働いている姿が見えないテレワーク環境では、時間単位で報酬を決定することは難しい。
そこで、ワイズスタッフでは、業務単位で報酬を決定しているそうだ。

それぞれの業務に対しての報酬は、Webデータベース製品「サイボウズ デヂエ」を利用してデータベース化し、公開されている。

ワイズスタッフでは新規プロジェクトが発生するとまずリーダーを決め、指名されたリーダーはWeb制作担当、マーケティング担当など必要なメンバーを募集する。メンバーは「サイボウズ デヂエ」上で業務に対する報酬を確認の上、参加したいプロジェクトに応募するシステムだ。

このように、業務に対する報酬をあらかじめ決めておき、可視化しておくことで、顔を合わせる機会が少ないテレワーク環境でも、報酬に対する不公平感や不満などが生じることを抑制できるのである。

企業の生産性を向上させるテレワークの推進に向けて

「テレワークは少子化、高齢化、地域格差、就労支援など様々な社会問題を解決できるソリューションのひとつ」と語る田澤氏は、ワイズスタッフでの経験を元に、テレワーク導入のコンサルティングを専門に行う株式会社テレワークマネジメントを2008年に立ち上げた。

特に中小企業にとっては、「福利厚生」や「社会貢献」だけではテレワークや在宅勤務導入に踏み切ることは難しい。
株式会社テレワークマネジメントでは、企業の生産性を向上し、経営的なメリットを生むテレワーク導入を提唱し、テレワーク普及を目指している。

会社概要

株式会社 ワイズスタッフ

ホームページ
http://www.ysstaff.co.jp/
従業員数
役員 2名、社員 11名、契約スタッフ 140名(海外7名)(2010年8月現在)
事業内容
ホームページ制作、コンテンツ制作、ネットプロモーション、リサーチ/調査 など